~吉田明美さん (セミナー講師)~

― 今年はコロナで仕事や生活が大きく変わりました。その中で、コミュニケーションの大切さを改めて感じます。キャリア・カフェ(11/3、12/5、2/7)にコミュニケーションがテーマのセッションも用意して、吉田さんに講師をしていただきます。
さて、単刀直入ですが、コミュニケーションで一番大切なことは何だと思われますか?
吉田 お互いがWin-Winの関係であることではないでしょうか。2人以上の人間がいるところにコミュニケーションは存在しますが、片方が居心地よくて、もう片方が居心地悪いというのは、いいコミュニケーションじゃないような気がします。
― Win-Win、つまりお互いに無理をしない、ということですね。
吉田 はい、そうです。無理して人に合わせているうちはダメなんですよね。相手にいい影響を与える存在になりましょう、これが私からの提案です。
― いい提案ですね。
吉田 ありがとうございます。と言うのも、かつて私も何となくソリが合わない人、自分を受け入れてもらっていないと感じる人について、どう関係を結べばよいのか悩みました。
― そうでしたか。。そのとき、どうされたのですか?
吉田 「切り分け」をしました。私ががんばってできることとそうでないことを切り分けたのです。自分ががんばってできることはやりますが、そうでないことはあきらめました。たとえば相手が私をどう思っているかは私にはどうにもできないので、考えないことにしたのです。そうやって、ストレスを抱えこむことを避けることを学びました。
― そうだったのですね。
吉田 特に50歳くらいの女性は、色々なストレスを抱えやすいと思うのです。夫との関係、子どもとの関係、親の介護、職場の人間関係、自分も更年期が出てくるなど、その中で1つうまくいっていないことがあると、すごいストレスになるのです。自分の努力でなんとかなることと、どうしようもないことを切り分けることによって、ずいぶん楽になるのではと思います。
― なかなかできない人もいると思いますが、どうすればいいでしょうか?
吉田 身近にいいコミュニケーションをとっている人がいたら、その人と同じ動作をするといいと思います。いつも眉間にシワを寄せているような人にはなるべく近寄らず、「この人、いいな」と思える人の近くにいるようにして、その人と同じ動作をしてみる、ですね。
― TVなどでいい例があれば、聞きたいです。
吉田 私の主観ですが、「逃げ恥(逃げるは恥だが役に立つ)」に出てくる森山みくりさんですね。彼女、始めは人からどう思われているかをとても気にしていたのですが、途中から「自分は自分でいいんだ」と気づいたんですね。そうすると、どんどん人に好かれるようになって、いい方向に進むようになったのです。
ドラマって、古今東西、ほとんどのドラマがそうだと思うんです。「おしん」なんか見事にそうですが、最初は自分を抑えて人に合わせて生きているのが、だんだん成長して、自分らしさを取り戻しますよね。
― なるほど。興味深いです。
吉田 自分を抑えていい関係を保っても、いい関係とは言えないと思うのです。それが原因で誰かにあたってしまうとか、ひずみも出てくるでしょうし。。相手を傷つけるのはいけないですが、誰に対しても自分自身のままでいられる、がいいのではないでしょうか。
― 少し前にKY(空気読まない)という言葉が流行りました。KYって、どう思われますか?
吉田 人に迷惑をかけなければ、みんなKYでいいと思います。自分は自由なんだと。ただ、相手の自由も尊重することが条件です。そうでないと、Win-Winでないですから。
― あのとき、かわいそうなくらいに気にしてる人が結構いましたね。
吉田 今はSNSもあって、いつ誹謗中傷されるかわからないという、過度な緊張感もありますよね。
― またドラマの話ですが、昔の青春ドラマ、好きでしたか?夕日に向かって走ろう、のノリですが。
吉田 大好きですよ!一緒になって、バカヤローって言ってました(笑)。
― 今なら「アホか、あいつら」って感じですが、意味もないけど一緒に走れた時代の方が幸せだったのかもしれないですね。
吉田 そのとおりですね。ケンカしても、何年かして「あのときは。。」で済んだものが、今は文字で残る、拡散して自分が意図しない意味を持ってしまうなど、不要な感情を引きずってしまう環境になっていると思います。
― そうすると、ますます周りを見てしまうという。。やっぱり、無理なく自然体でいられる関係がいいですね。
吉田 無理しないと続かない関係は、契約終了でよいかと思います、可能ならですが(笑)。
― 何か元気が出てきました。キャリア・カフェのセミナー、楽しみにしています。
吉田 ありがとうございます!
ーーーーーー吉田 明美さん プロフィールーーーーーー
放送作家として、報道、クイズ、ドキュメンタリー番組を担当し、多くの番組制作をこなす。構成作家として、「高校生クイズ」「ズームインサタデー」「レディス4」「スーパーJチャンネル」等を担当。ラジオのトーク番組で、政財界人、教育関係者へのインタビューを数多く実施。
現在は、ライターとキャリアコンサルタント、二足のわらじを実施中。「家庭と仕事の両立」、中学受験を目指す家庭のコンサル、言葉の「語感」が潜在意識に働きかける独自のメソッドを確立し、家族のコミュニケーション力アップを推進。